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概要・特色

まず「美学」教育の原点は、「美」や「芸術」を学ぶことを志している人なら誰しもが自分のなかに持っている「美的感覚」とは何かを問うことです。しかし、各人のなかにすでにあるこの「美的感覚」をより幅の広い、より深い直観力に裏付けられたものに深めることが美学教育の基本方針です。そのことは、各人の美的体験や芸術体験を通じて行われますが、当然のこととして、過去の先人が残した美学研究のテキストに英知を尋ねなければなりません。
「芸術学」には、もちろん「美学」と重なるところがあります。しかし、古今東西、現実には芸術が、いわゆる「美」を表現しない芸術が数多くあり、「芸術学」教育は芸術が「美」を表現しなくなった時点に立ち戻らなければなりません。一般に芸術が美以外にも、「虚構(フィクション)」に基づいて「芸術的真実(リアリティ)」を表現するとよく言われます。芸術学は、具体的な芸術作品の分析を通じて、美とは違った芸術の意味の解明をめざすのです。
「美術史」教育の原点は、個々の美術作品の「形」や「内容」を歴史的脈絡のなかで捉える感覚と知性とを養うことです。誰もが、好きな美術作品や美術家については、何らかのイメージや価値評価をもっているでしょうが、それを体系的に、幅広い歴史的・文化的脈絡のなかで捉えたとき、初めて学問的普遍性を備えた美術史的知識となるのです。
以上のように美学・芸術学各分野は、それぞれの教育分野にしたがって特徴ある学び方をしますが、最終的な目的は共通しています。つまり、われわれと異なる時空に現れた「美」や「芸術作品」に内在する共通性やメカニズムとはなにかを人文学的に究めること、それこそが目的になるのです。