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先生に聞いてみよう!

2009年度

田中励儀先生インタビュー

今回は、文学部国文学科の田中励儀先生の研究室にお邪魔してお話を伺ってきました!日本近現代文学を研究していらっしゃる先生に、大学生のゼミの様子や国文学研究の醍醐味などお聞きします!

Q.01 先生はどのような研究をしていらっしゃるのですか。


A.
明治から現代までの近代文学について、特に泉鏡花という作家を中心に研究しています。明治、大正、昭和に亘って小説を書いてきた人です。

Q.02 泉鏡花に興味を持ったきっかけは?

A.
私が学生だった30数年前は夏目漱石や森鴎外、島崎藤村など人生のテーマを追求し問いかけるような文学が主流で、鏡花のような幻想文学は大衆文学的な扱いを受けていて、あまり読まれていませんでした。また、当時は現在と違って文庫本として出版される作品や作家が少なく限られていたので、泉鏡花の作品でも「高野聖」や「歌行燈」などの代表作以外はなかなか触れる機会というものはなかったんです。
それらの定番作品だけでも惹かれる所はあったのですが、大きく興味を持ったのは大学3回生の夏休みですね。古本屋さんで『泉鏡花全集』に出会い、実際には起こり得ない幻想的な世界や虚構の面白さというものに、どっぷりハマってしまったんです。その夏休みの内に全28巻を読破してしまいました。

Q.すごいですね!今でこそ幻想文学の先駆者として大きな評価を受けている泉鏡花が、大衆文学と扱われていた時代もあったなんて驚きです。学者の道に入ろうと思ったきっかけは何なのでしょうか。


A.
在学中は研究の道に入ろうとは思っていなかったんです。国文学科の学生ですから、趣味や娯楽としての文学に留まらず、その面白さを研究することには興味があったのですが、まさか研究職に就くことになるとは思っていませんでした。中学校・高校の教員や図書館の司書に関心があり、実は資格も持っています。

Q.03 どんな大学生活を送っていらしたのですか。


A.
真面目に研究していたんじゃないかな。クラブ活動としては、国文学研究会に入って研究していましたね。実は入学して当初は古典に興味を持っていて、研究会では中世文学について研究していました。同志社大学の国文学研究会は学生の自主的な研究の組織で、我々の時代には活動がすごく活発だったんですよ。古代前期、後期、中世、近世、近現代の5つの時代の文学と国語学(日本語学)を究めるグループに分かれていてそれぞれのグループに学生が何人も所属していました。例会や学内ゼミなど色々な活動をしましたね。

Q.04 経済学や法律学とは違い、「国文学」の研究にははっきりした答えがないように思います。「国文学」の魅力とは?


A.
「国文学」は算数の足し算のように答えの出るものではないけれど、そこが文学研究の面白さだと思いますよ。文学研究というものは人間の心を学ぶような部分がとても大きい。小説などには男女の出会いや別れなどが描かれていますよね。確かにその出来事だけ抜き出してみると大真面目に研究するのは変な感じがするかもしれません。だけど、人と人との繋がりを見つめることで、「人の心とは何か」ということをあぶりだしていくのが国文学研究の魅力だと思っています。それぞれの作家、作品ごとに出てくるテーマや魅力を自分なりに論じて、自分の解釈が如何に説得力があるかということを様々な方法で論証していくことこそ醍醐味でしょう。

Q.05 先生の研究のアプローチは?


A.
実証的な方法をとっています。様々な資料を集めて自分の読みの正しさを論証するために、役立てていくといったやり方です。膨大な資料集めが必要になるけれど、それを大変と思うのではなく楽しんでするのが僕のモットーですね。学生にも楽しんで研究してもらいたいと思っています。

Q.06 ゼミではどのような授業をなさっているのですか。またどのような雰囲気なのでしょうか。

A.
今年の3回生のゼミの学生は合計13人の中で男性がたった1人ですが、皆きっちりと自分をもって授業に臨んでいると思います。

近現代の様々な作家の短編を1人1作品担当で2時間の発表を課しています。学生たちには5つのことを調べてくるように言っているんです。1つ目は「初出誌(その作品が初めて発表された雑誌)、初刊本(作品が初めて出版された本)の確認」です。2つめは、初出誌、初刊本、全集本などで表記の違いがあるか調べる「本文異同の調査」です。3つ目がその作品が発表された当時の批評である「同時代評の調査」。4つ目はその作品についてのこれまでの「研究史」を調べること。5つ目が語句や内容の不明瞭な箇所の意味を調べる「注釈」です。同じ言葉であっても時代によって使われている意味が違うこともありますから。同時代評や研究史を調べて、これまでの解釈を理解した上で最終的には自分なりのオリジナルな解釈を発表、論証してもらうことを目的としています。それが卒業論文につながっていくんです。

Q.07 先生の趣味は何なのでしょうか。

A.
山登りです。高校3年生の頃から四十数年続けている趣味です。昔は北アルプスや信州の山に遠出してよく登っていましたが、最近はなかなか時間が無いので、京都の北山、神戸の六甲山など関西周辺の山に日帰りで登ることが多いです。北山に山小屋を建てているのでそこでバーベキューをしたりもしますね。

鉄道も好きですね。乗る専門なのでいわゆる「乗り鉄」です。各地に残っている路面電車や中小私鉄などが特に好きです。

Q.08 受験生に向けてのメッセージをお願いします。

A.
自分が今、そして大学卒業後に何をしたいのか、目的意識をしっかり持った上で大学を選べばより有意義な大学生活を送ることができますよ。その上で、国文学科に入学したいと思うのであれば、高校生の間に小説、古典、紀行文など色々な本を偏らずに読んでほしいですね。楽しんで本を読めるということがまず大事だと思います。


———どうもありがとうございました!
田中励儀先生
編集後記
取材は田中先生の研究室で行われましたが、部屋に入るとたくさんの書物の山にぐるりと囲まれました。中でも先生の専門の泉鏡花の全集は色々な出版社のものが何セットも!でもよく見ると本の山の隙間にチョロQが覗いています。電車が好きな先生の趣味がこんなところに出ているのですね。読書を楽しみ、趣味を楽しみ、研究を楽しむ。色々なことを楽しみながら毎日を送っていらっしゃる先生はとても充実して見えました。どんなことでもまずは「楽しんで」することが大切なのだと思います。本に囲まれているせいか先生の人柄のせいか何とも暖かい魅力のある研究室でした。

内山 裕香
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