以下、本文になります
学部長からのメッセージ
文学部は、1875年に創立された同志社英学校に起源をもつ学部で、英文学科、哲学科、美学芸術学科、文化史学科、国文学科という5つの学科を擁しています。それぞれの学科はそれぞれの専門性をもち、それぞれ独自のカリキュラムを通して、専門性を核としながら、さまざまな知識や考え方を学ぶことができるような教育課程を編成しています。それに加え、文学部では各学科の垣根を越えた学びができるよう、副専攻制度を設けています。この副専攻制度を活用することで、視野や知識の幅を広げるとともに、主専攻の専門的な学びをさらに深めていくこともできるでしょう。
語学力の陶冶を除くと、文学部での学びは直接的に現代社会の課題を解決するには大して役立たないように見えるかもしれません。例えば国家間の争いに対して、文学部の学びなど無力なようにも見えます。しかしなぜ国家間は争うのか、同じ人間どうしなぜお互いにわかり合えないのかとあらためて問うならば、答えはいろいろあるでしょうが、お互いが相手の思考様式や価値観、文化を理解しようとしないという問題が根幹にあるのではないでしょうか。それは現代の自分たちの考え方こそ「自然」であって、相手の考え方が「不自然」だと思ってしまうからではないでしょうか。文学部では、まずその考え方から疑います。自国の過去の文化や外国の文化を深く学べば学ぶほど、現代の自分にとって自然だと思っていた考え方がいかに偏狭なものであるのか、思い知ることになります。それとともに人間の考えがいかに多種多様でありうるのか、気づくことになるでしょう。今まで予想もしなかった世界が、皆さんの前に開かれていくのです。文学部の学びは、目先の課題の解決のためではなく、人間について、文化について、根本から見直し、考えていくことのできる新しい自分になることを促すでしょう。過去の書物や資料の海に飛び込むこともまた、先人たちが真摯に考え抜いてきたことと向き合う機会となるはずです。そしてぜひキャンパスの周囲にも足を運んでください。幾重にも伝統が重なった京都の街に触れることは、写真や映像では伝わらない「本物」を味わう良い機会になるでしょう。
文学部長 伊達 立晶